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Q&A

感染症について

インフルエンザの抗原検査について

インフルエンザの抗原検査は鼻や喉にある程度の量のウイルスがいないと陽性にならない場合があります。同時期に家族内に感染者がいるなどの特別な場合を除いて、発熱したばかりだとまだ喉にいるウイルス量が少ないために、たとえ39℃や40℃でも陰性になってしまうことが多いです。
この検査は通常、38℃以上の発熱があってから12~24時間経つとしっかり判定できるようになります。
また、抗インフルエンザ薬は熱が出てから48時間以内に使うと良く効きますが、それ以上経ってしまうと効きにくくなるという特徴があります。
インフルエンザの流行期にお子さんが突然39℃の熱を出すととてもご心配でしょうし、すぐにインフルエンザかどうか確かめないと不安だという親御さんのお気持ちもとてもわかりますが、上記のような事情があるので、例えば発熱したのが夕方であれば安静にして解熱剤やクーリングで対処し、翌日の朝38℃以下でも(インフルエンザでも朝には一時的に36~37℃台に下がることがありますので)かかりつけ医を受診してインフルエンザの検査を受けることをお薦めします。それから、インフルエンザワクチンを接種しておけば、たとえ感染しても不安にならず慌てずに対処できるのではワクチン接種をお薦めします。6か月以上の乳児のお子さんも集団保育に行かれる場合にはワクチン接種をお薦めします。

手足口病について

手足口病はその名の通り手足と口の中に発疹が出るウイルス性の病気で、ほとんどの場合は皮膚症状(手足や口に水疱のような発疹が沢山出る)と軽度の発熱(平熱~38℃前後で1,2日間)程度で済みます。
風邪などと同じように飛沫(唾)感染で、潜伏期(感染してから症状が出るまで)は3~6日程度です。

手足口病の原因となるウイルスは一つではなく、コクサッキーウイルス、エンテロウイルスなど複数存在します。そのうちエンテロウイルス71(EV71)というタイプのウイルスはその他のウイルスに比べて髄膜炎や脊髄炎、脳幹脳炎など中枢神経系の合併症を起こしやすい傾向があります。
重症な合併症は5歳以下の乳幼児に多く、発疹の出現から2~4日後に生じているようですので、発熱している間はあまり無理をせず家で様子を見るようにしましょう。
また、コクサッキーウイルスの一部に、まるで水ぼうそうのような大きい水疱を伴った発疹が手足だけでなく、太ももやお尻や腕まで広範囲に出るものがあります。発熱は伴わないこともあり、出ても1~2日で解熱しますが、発疹が大きいため治るまでに時間がかかりしばらくの間色素沈着が残ります。2024年の夏はこのタイプのウイルスの感染が流行しているようです。
このウイルス感染にはおまけがついていて、感染してから4~6週間くらい経ってから、手足の爪が浮き上がって剥がれてしまうことがあります。爪が剥がれる指は1本だったり数本だったり剥がれなかったりとお子さんによって様々です。痛みはなくお子さんはケロッとしていることが多いです。剥がれ落ちた後には1〜2か月で新しい爪が伸びてきますので、心配はありません。

マイコプラスマ感染症について

マイコプラズマは一般の細菌とは異なる性質をもった病原体で、一般的に「マイコプラズマ」と呼ばれているのは肺炎マイコプラスマ(Mycoplasma pneumonia)という種類の菌です。
肺炎マイコプラズマは感染すると肺炎や気管支炎だけでなく他の内臓にも病気を引き起こすことがあります。
感染者の飛沫(咳やくしゃみ、会話などで飛散する唾液)への接触で感染します。潜伏期は2〜3週間とかなり長く、やっかいなことに一旦感染すると症状が改善しても数週間~数ヶ月間は排菌しているため、流行が長く続きやすいのが特徴です。予防方法としては、手洗い・うがいをしっかりすること、患者との濃厚接触(長時間部屋の中で遊ぶなど)を避けるといった一般的なものしかありません。

マイコプラズマは主に気管支炎や肺炎など、気道感染症状を引き起こします。通常子どもの風邪症状の時に処方されるセフェム系やペニシリン系の抗生剤は効かないので、何度か通院してから診断されることも珍しくありません。
症状の特徴としては最初に発熱や全身倦怠感、頭痛などがあり、3~5日目頃から咳が出始めます。最初は軽い乾いた咳ですが、徐々に強くなって痰がらみになり、一旦出だすと止まりにくいしつこい咳になってきます。この咳は 熱が下がった後も3〜4週間続くことがあります。また、経過中に喘息のようなゼーゼーという喘鳴を伴ってくることもあります。高熱を伴わずひどい咳だけの場合もありますが、重症例では高熱が4、5日以上続き強い咳を伴って全身状態が悪化し肺炎を併発して入院治療が必要となります。
また、1割前後の例で体に赤い発疹が出てくることがあり、その他には声がれや耳・のど・胸の痛みなどが伴ってくることもあります。肺炎・気管支炎以外の合併症としては中耳炎、髄膜炎、肝炎、心筋炎、関節炎など他にも様々な病気があります。
診断は症状の経過と診察所見、検査結果などをもとに行います。検査はのどの分泌液の抗原検査・培養検査や、血液中の抗体を調べる検査などがありますが、医療機関によってできる検査は異なっています。培養検査は、菌が生えてくるまで約1週間かかり迅速性に欠けるので、一般のクリニックではあまり行われていません。

治療としてはマクロライド系やテトラサイクリン系の抗生剤が有効で、これに症状に対する咳止めや去痰剤、気管拡張剤などの薬物療法を併せて行います。
学校や保育園を休む期間の目安には、インフルエンザのように明確な基準は設けられていませんが、発症後約1週間は排菌量も多く咳がひどいことが多いため(咳をすると約3m先まで唾が飛散することがわかってい
ます)熱が下がってもひどい咳をしているこの間は登校・登園を控えていただいた方がいいでしょう。その後は主治医の先生の許可が出れば登校・登園を再開できます。マイコプラズマ感染症は家族内での流行も多いので、家族の誰かが診断された場合、その2,3週間後でも他の家族にひどい咳が出始めたら、早めに受診して有効な抗生剤を処方していただくことをお薦めします