血液型検査について

血液型の検査は、日本で生活していれば何か病気をして治療上必要な際にはすぐに出来る検査ですので、どうしてもしておかなくてはいけないものではないと思います。以前は出生時に臍の緒から採血して血液型検査をする医療機関がありましたが、赤ちゃんの免疫が未熟であったり母体血が混入したりしてごく稀にですが実際と違う判定をしてしまうことがあったため、現在はほとんど行われていません。

血液型検査については、血液の病気や手術などが必要な場合のみ保険適応があってそれ以外の場合は自費診療になり、費用は医療機関によって異なります。検査は血管に針を刺して採血するという痛みを伴うものなので、私も積極的にはお薦めしていません。

検査する時期としては、1，2歳以降に行うのがよいと思いますし、大きな病気や怪我をしなければ本人が血液型を気にするような年頃になってからでも良いのではないでしょうか。

ただ、海外渡航時や幼稚園や学校の入園・入学時などに健康調査票に血液型を明記することを求められる場合があります。ひとつの案としては、何らかの病気で点滴や血液検査などが必要になったとき、ついでに自費分の検査として血液型も調べてもらうという方法があります。

最後に蛇足ですが・・・大人になってしまった今、血液型を気にせず無邪気に遊んでいた「何型」でもない子ども時代が懐かしく感じられるのは、私だけでしょうか？

耳掃除について

日常のお手入れとしては、私は2週間に1回か1か月に1回程度、赤ちゃん用の細い綿棒でやさしく耳の穴から1㎝くらいの範囲までの耳垢をとってあげることをお薦めしています。外耳道の皮膚は手足の皮膚より薄くてとても弱いのでスプーン状の耳かきや太い綿棒では傷つけてしまうことが多く、その傷から細菌などが入りやすくなったり、耳垢を奥に押し込んで塊にしてしまったりする可能性があるので避けた方がいいようです。耳掃除はあまり頻回にしない方がいいといわれていますが、耳垢が多いと石のように固まって「耳垢栓」という状態になり外耳道（耳の穴）を塞いでしまうこともあります。耳垢栓ができてしまうと家庭で取り除くのは難しいので、耳鼻科を受診する必要があります。耳掃除が大嫌いで大暴れするお子さんの場合にはお家で耳掃除をするのは難しいので、させてくれるようになるまでは2,3カ月に1回程度耳鼻科で溜まった耳垢をとっていただくことは良いことだと思います。また、耳垢にはカサカサした乾性耳垢とネバネバした湿性耳垢の2種類があり、日本人の場合、2，3割の人が湿性耳垢といわれています。正常の湿性耳垢は黄色いネバネバした性状で、これを持つ人の耳掃除をすると綿棒が真っ黄色になります。一見汚い感じがするかもしれませんが、耳垢の成分には外耳道（耳の穴の壁）の皮膚を保湿・保護したり、虫や雑菌が入ってくるのを防いだりする働きをもつ物質が含まれているので、頻回にとってしまうことはかえって耳のためによくないようです。もしも、耳垢がいつもと違う色だったり、悪臭を伴ったり、お子さんが耳を気にするような様子があったりしたら、かかりつけの小児科か耳鼻科を受診して耳の中を診察してもらいましょう。

就園するお子さんと感染症

一人目のお子さんであれば、初めての集団保育への参加は何かと心配なことが多いと思います。

集団保育で避けて通れないのが感染症です。とくに一人目のお子さんの場合には就園までほとんど感染リスクのない環境で育っていますので、おそらく登園を開始すると間もなく、お家にはいなかった様々な細菌やウイルスに晒されることになると思います。鼻水、鼻づまりや咳、発熱、嘔吐、下痢など、病原体によって様々な症状が出ます。大変残念ですが、園生活において「絶対に感染しない対策」というものはないと思ってください。でも感染の機会を減らす対策はできます。それが、新型コロナウイルス感染症流行をきっかけに全国的に周知された、手洗い、うがい、体調管理などです。マスクに関しては2歳以下の乳幼児は窒息の危険性があることと、乳幼児の保育活動は体の接触をなくすことが困難であることなどから、保育園や幼稚園では外しているところが多いです。しかし。感染症の種類や流行状況によっては年少以上のお子さんのマスク着用に関しては今後流動的になる可能性があります。

一番大切なことは日頃の体調管理で、その基本は早寝（遅くても21時には寝る）、早起きして朝ごはんをしっかり食べることです。お家で自由にゆっくり過ごしていたお子さんが園での集団生活に慣れるまでの数か月間は、たとえ楽しそうにしていても張り切っていても、心身共に疲れていると思って下さい。少なくてもGWを挟んで5月末までは、日曜日には疲れるような遠出は避けてお家でゆっくり過ごして体を休め、翌日からの園生活に備えましょう。

それから、集団生活で風邪などの感染症に罹患することは、子どもが感染症への抵抗力をつける上では必要悪的な側面をもっています。大人になるまでにある程度感染症に罹患することで、体が記憶してかかりにくくなっていきます。親がやるべきことは、我が子が感染症に「絶対にかからないようにすること」ではなく、「かかりにくい生活様式を身に着けること」と「もしかかっても重症化しないように体力を養い医療機関に早めに受診すること」です。最後に誤解のないようにお話ししておきますが、感染症にかかった方がいいという訳ではありませんので、感染しているお子さんのところにあえて貰いにいく様なことは決してしないでください。ワクチンで防ぐことができる感染症に関してはきちんとワクチン接種を受けて下さい。